2026/05/28
「ニゲラ」
5月 27日 曇り
春は静かに去って、雲雀丘には初夏の光が満ちてきました。ライオン像の足もとでは、ニゲラが風に揺れながら涼しげな花を咲かせています。細やかな葉と、風船のようにふくらむ実はどこか愛嬌があり、見れば見るほど味わい深い花です。キングニゲラという名前を思い浮かべると、風船の中から小さな怪獣が飛び出してきそうな、そんな楽しい想像が広がります。地中海沿岸から西アジアを故郷とするニゲラは、江戸末期に日本へ渡ってきました。陽当たりと風通しのよい場所を好む花だけに、雲雀丘の風は気持ちよさそうです。
環境のいい雲雀丘で住宅地の開発が始まったのは、大正時代に入って間もない頃でした。平地だけではなく、山裾の斜面地まで活かした街づくりは、当時としてはとても先進的だったようです。その後、このような郊外住宅地の開発は全国へ広がり、高度経済成長期には、山林の傾斜地を利用した住宅地の造成が各地で見られるようになりました。
たくさん風船を作って風に遊ぶニゲラの隣では、ベルサイユのばらが気品たっぷりに、まるで王妃のようなすまし顔です。