2025/05/07
「2本のつるバラ」
現在、お庭で一番勢いがあって綺麗な花は、つるバラだと思います。真っ赤な花がたくさん咲いていて、蕾の数もまだ多く残っています。左右に分かれて咲く2本の花は、白いパーゴラの柱に沿うように伸びて、コロニアルスタイルの建物を引き立たせています。ヴォーリズさんがこの情景を目にしたら、
きっと「wonderful」と言って、歓喜の声をあげられることでしょう。この時期なら、つぶらでとても可愛い姫マツバギクを紹介したかったのですが、今日はつるバラの勢いに圧倒されました。
つるバラの花言葉を見ると、無邪気で爽やかで、いつも美しいとのことですが、これは実に上手い表現だと思います。記念館の2本のバラは、無邪気に爽やかに、美しさを競い合っているように見えます。
競い合うといえば、高碕さんはこのような言葉を残しています。「競争こそが新しい起業意欲を盛りたて、新たな創意を喚起するものだ」と。そして、その競争は目先の利益にとらわれず、正々堂々と自分の力で自由競争下に処してほしいと付け加えています。
正々堂々という表現は、実に高碕さんらしい言葉だと思います。正々堂々と自分の考えを述べ、相手の言い分にもしっかりと耳を傾ける。高碕さんのこの姿勢は、世界中どこへ行っても変わらなかったから、誰からも信頼されたのでしょう。高碕さんは、コミュニケーションの達人である上に、お得意のお土産作戦も、相手に応じて細やかに準備していました。これには、流石に強面のフルシチョフ首相(旧ソ連)も、満面の笑顔で高碕さんとのツーショット写真に、納まらざるを得なかったのだと思います。私はこの写真を手帳に貼り付けていますが、両者が最高にいい顔をしています。2本のつるバラの競い合いが、国際会議まで飛んで行きましたので、話をお庭に戻しましょう。
さて、私が期待しているベルサイユのばらですが、初夏の爽やかな風に吹かれて、実にゆっくりと蕾を膨らませています。5月の風といえば爽やかさの代表ですが、雲雀丘の優しい風がベルサイユの蕾と楽しく遊び、やがて深紅の花へと育てていきます。

